#72 RFD/力の立ち上がり 競技動作に力を伝えることを前提にトレーニングを行う
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スポーツ競技のパフォーマンス向上を狙うなら、自分の筋力を競技動作に活かすことを前提にトレーニングをしていかなければなりません。
では筋力を競技動作に活かす、とは具体的になにをしていけば良いのか。
競技パフォーマンス向上の為の要素はいくつかありますが今日は一瞬の力の発揮、瞬発力に非常に関係の高いRFD (Rate of Force Development:力の立ち上がり率)について。
【RFD/力の立ち上がりとは】
力の発揮の方法で多くのスポーツ競技に共通する点は、出来るだけ素早く瞬発的に大きな力を発揮するということ。(もちろん例外もあります)
スポーツ競技で高いパフォーマンスを発揮するために必要となる重要な要素の一つが、RFD (Rate of Force Development:力の立ち上がり率)です。
力の立ち上がり、という言葉だけでは色んな捉え方ができてしまいますが、重要なポイントは2つ。
- いかに短い時間で
- より大きな力に到達(発揮)できるか
を表した言葉がRFD/力の立ち上がり率です。
どちらも大切な要素ですが、2.より大きな力に到達(発揮)できてもそれだけでは競技スポーツでは使えません。
重要になるのは1.いかに短い時間で、という点。
より大きな力を発揮するだけではなく、その力をいかに短い時間で発揮できるかが勝負を分ける場面でカギになります。
- ラグビーやバスケットで素早く方向を転換する
- 短距離走でのスタート
- 相撲での立ち合い〜ぶつかるまでの反応
- バレーボールやバスケットボールなどのジャンプの速さ(高さ)
- バットやラケットを振る瞬間
- ボールを投げる、蹴る瞬間
など様々なスポーツシーンで瞬間的に大きな力を発揮する場面があり、その多くの場面で勝敗を左右します。
【スポーツに必要な筋力発揮とは】
最大筋力差のある2人の選手がいるとします。
- A選手の最大筋力(出せる力)は150kg
- B選手の最大筋力は100kg
この場合、最大筋力の大きいのはA選手ですが、
- A選手は、0.1秒で50の力まで筋力発揮できる
- B選手は、0.1秒で100の力まで筋力発揮できる
この場合ではB選手の方がA選手よりも力の立ち上がりが大きく、プレーで上回れる可能性が高くなりより良いパフォーマンスを体現できる状態です。
そして大きな力を短い時間で発揮する能力であるRFDの値はB選手の方が高い、と表せれます。
筋力トレーニングでどんなに大きな力を出せるようになっても、実際のプレー中に「力を発揮せよ」と脳の命令が出てから、最大の筋力・パワーに到達するまでに時間がかかってしまうと(RFDが低いと)実際のスポーツシーンでは不利な状況に陥る可能性が高くなります。
【RFDを構成する要素】
RFDは、
- 最大筋力の大きさ
- 最大筋力への到達速度
の2大要素で構成されています。
この2つの要素を伸ばすのに関係してくる要素が
- 筋断面積の増大
- 神経の伝達機能
- 筋腱のスティッフネス
となり、この3要素を向上させていくことがRFD値の向上=競技パフォーマンス向上へと繋がっていきます。
より大きなRFDを得るには、できるだけ多くの神経伝達のルートと神経伝達を受け取る筋断面積(モーターユニット)が瞬時に反応する必要があります。
特に瞬間的に大きな力を発揮できる速筋線維(タイプⅡb)の動員率が高くなる必要があります。瞬間的に大きな力を発揮するためには、これらを向上するのに適したトレーニング方法を正しく取り入れましょう。
【RFD値を向上させるトレーニングとは】
1. 最大筋力向上
最大筋力向上を狙う高重量トレーニングはRFDの値を向上するための基礎能力として欠かせません。
ここまで「瞬発的に」「より短い時間で」と伝えてきましたが、まず前提として基礎体力、基礎筋力が高い選手ほどRFDが高い(すなわち瞬間的に力を発揮できる)数値が出ることが解っています。
RFDで重要となる筋繊維のタイプは速筋繊維タイプⅡbの動員であり、このタイプⅡbが効果的に鍛えられるトレーニングが高重量でのトレーニングです。
瞬発的な能力は高い基礎筋力という土台があってこそ、ということを意識しておきましょう。筋力の向上に伴い、発揮できる力の絶対値が大きくなることでRFDが向上します。
最大筋力向上については過去記事に詳しくまとめたのでご覧ください
tr-support-tatsuki.hatenablog.com
【神経の伝達機能の向上】
最大筋力向上を目的としたトレーニングでは神経系の発達が起こります。脳が命令を出してから筋肉に動作を伝える役割をするのが「神経の伝達機能」です。
神経系の発達に必要な筋の放電率、運動時の筋肉の動員数は高重量トレーニングで養われる為、アスリートやスポーツ競技を行う選手には必須なトレーニングです。
2.爆発的動作トレーニング
瞬間的、爆発的に力を発揮するトレーニングが必要となります。全身の筋組織(筋肉や腱)や神経伝達機能がタイミング良く瞬時に反応して動作を起こすことを養うトレーニングをプログラムして行うことで瞬発力へと繋がっていきます。
これらを養う主なトレーニングが
- クイックリフト
- プライオメトリックス
です。
クイックリフト
クリーン、スナッチ、ジャークなど全身の力を爆発的に働かせてバーベル(又はダンベル)を挙上させていくトレーニング。
勝手ながら個人的にクイックリフトについて大変参考にさせていただいているYouTubeです。
プライオメトリックス
ハードルジャンプ、ボックスジャンプ、デプスジャンプ、片足ジャンプ、など筋肉の伸張と短縮の反射を利用して力を発揮するトレーニング。
このクイックリフト/プライオメトリックス、2つのトレーニングで共通して起こる反応は、連続した動作時に筋肉と腱の反射が起き動作の切り返しが行われるという点です。
こちらの動画も参考にさせていただいているものです。
【ジャンプトレーニングのポイント解説!】Plyometric Exercise !プライオメトリックエクササイズ!【注意点もあるよ!】
筋腱のスティッフネス
スティッフネスとは、簡単に言うと「筋肉の硬さ」です。硬さといっても、関節可動域が硬いわけではなく、筋肉を可動させるのに大きな力が必要である、という「硬さ」です。イメージとしては、「筋肉の強靭さ」でしょうか。
筋肉が瞬間的な負荷、重量に耐えられる耐性力とも言えます。スポーツ動作時にこの筋肉、腱のスティッフネス(瞬間的負荷への耐性)が高い方が反発の力を得られ短い時間で大きな力を発揮できます。
筋肉が筋の張力(急激に伸ばされる動き)に反応して体を過大な張力から守るため、元の筋肉の長さに戻ろうとする役割を伸張性反射といい、この伸張性反射を利用して動作の瞬発性を高めることが可能です。
また、過剰な筋活動から筋肉の損傷を防ぐために筋活動を抑制する反射をゴルジ腱反射と言います。とっさの時に筋肉を守る役割をしてくれる反射ですが、より高いパフォーマンス獲得のためにはそのゴルジ腱反射を抑制することが求められます。
先に挙げたクイックリフト、プライオメトリックスの2つのトレーニングはこの筋腱のスティッフネスの働きを引き出せることから、RFD向上の為には不可欠となります。
3.補足トレーニング
ここまで1.最大筋力向上トレーニングと2.爆発的動作トレーニングを挙げてきましたがもう1つ、RFD向上の為にやっておくべきトレーニング要素があります。
筋肥大トレーニング
なぜ筋肥大が必要か。
より大きなRFDを得るには、できるだけ多くの神経伝達のルートと神経伝達を受け取る筋断面積(モーターユニット)が瞬時に反応する必要がある
からです。
筋断面積の増大
筋肉の面積が大きければ
- 神経伝達を受け取る面積の増加
- 筋腱のスティッフネスが向上
するため、筋肉の面積を増やすための筋肥大を狙ったトレーニングも行うことが大切です。ただ、筋肥大を促すトレーニングは
- 中重量
- 高ボリューム
という設定になり、筋肉へのダメージや疲労の蓄積が大きくなります
この効果で肥大は促されますが神経系の発達は中々促しにくいので、シーズンオフなどのタイミングでまとめて筋肥大期間を作る、など中長期的なプログラム計画が必要となり注意が必要です。
・過去記事にも少しまとめております。
tr-support-tatsuki.hatenablog.com
tr-support-tatsuki.hatenablog.com
【最後に】
力をの立ち上がり率/RFDを知ることで、自分がプレーをする際やスポーツを観る視点が変わって来るはずです。
- 力はあるのに活躍できない理由
- 毎回勝ち続ける選手の動き
の秘密がこの力の立ち上がり/RFDに隠されているかもしれません。
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